新型コロナウイルスの治療薬

新型コロナウイルス(COVID-19)の治療薬について、調べてみました。テレビのニュースでは、近日保険適応となりそうな薬剤として、アビガンとレムデシビルが放映されております(2020年5月時点)。また、アクテムラもニュースになっています。

実際に使用されている薬剤

★ベクルリー(一般名:レムデジビル 点滴薬
2020年5月7日に保険承認
エボラ出血熱の治療薬として開発
推測される機序:ウイルスRNA産生を遅延させ、ウイルス増殖を抑制
COVID-19感染症では重症例に治療効果有
副作用に注意

★カジリビマブ/イムデビマブ(中和抗体薬)
2021年4月23日に保険追加承認
SARS-CoV-2スパイク蛋白の受容体結合ドメインに対するモノクローナル抗体
発症早期に1回投与することにより、重症化のリスクを下げる(3.2% → 1.0%)

抗炎症薬(サイトカイン抑制)

デカドロン
メチルプレドニゾロン

ステロイド薬で、強い抗炎症作用を持つ(長時間作用型)。人工呼吸や酸素投与を必要とする新型コロナ重症例患者への同剤の使用が推奨されている。

★オルミエントなど(JAK阻害薬バリシチニブ 内服薬
2021年4月23日に保険追加承認
関節リウマチの治療薬
酵素JAKを阻害し免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑える

アクテムラ(トシリズマブ) 注射薬     
関節リウマチの治療薬
機序:炎症系サイトカインの一つであるIL-6の作用 を抑制
COVID-19の重症化はサイトカインストームである急性呼吸窮迫症候群ARDSによるが、このサイトカインストームを抑制する

血液浄化療法
炎症性サイトカインを除去する方法
多臓器不全が進行する前の初期段階で考慮しても良い症例が存在する可能性が推測されている

有効性が不確定な既存薬

オルベスコ(シクレソニソ) 吸入薬
気管支喘息に対する吸入ステロイド治療薬
投与時期は感染初期~中期あるいは肺炎初期の患者に適応外使用が始まっている

レミケード、ヒュミラなど(TNF-α遮断薬) 注射薬
関節リウマチの治療薬
機序:炎症系サイトカインであるTNF-αの遮断薬
アクテムラと同様にCOVID-19感染症のARDSを抑制する効果が期待されている

ビラセプト(ネルフィナビル) 内服薬
HIVに対するプロテアーゼ阻害薬
新型コロナウイルスに対して増殖抑制活性がある(Ohashi, 2020. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.14.039925)

アビガン(一般名:ファビピラビル) 内服薬
日本で開発されたインフルエンザウイルス感染症に対する治療薬
新型コロナウイルス肺炎患者の入院日数を有意に短縮
機序:RNAポリメラーゼという酵素を阻害し、ウイルスの増殖を抑制
耐性ウイルスができにくい 

フサン(ナファモスタット) 点滴
フォイパン(カモスタット) 点滴
気道上皮細胞のTMPRSS2を阻害し、新型コロナウイルスのスパイク蛋白の活性化を防ぐ(Yamamoto, 2020. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.22.05498)

プラケニル(ヒドロキシクロロキン) 内服薬
一部の自己免疫疾患の治療薬
実験系では、レムデシビルと同等の新型コロ ナウイルスの抑制効果
治療効果がなかったとする報告が複数あります(JAMA. 2020 May 11; doi: 10.1001/jama.2020.8630;
The New England journal of medicine. 2020 May 07; doi: 10.1056/NEJMoa2012410.)

ストロメクトール(イベルメクチン) 内服薬
糞線虫やヒゼンダニなどの寄生虫に対する薬剤、フィラリア予防。マクロライド系抗寄生虫薬
推測される機序:細胞質のタンパク質を核内へ運ぶ分子であるインポーチンと結合して、細胞内伝達シグナルの核内移行を抑制

調べてみるとたくさんあります。私自身は感染症の専門家ではありませんので間違っている情報があったらごめんなさい(医療関係の方は専門書・文献を参照ください)。投与されるかどうかは、薬剤の値段、効果の期待値、副作用の重症度と頻度によるのだと思います。COVID-19の情報は、1カ月も経つと古い情報になっている可能性が高いです。その際は、以前はこんな感じだったんだと眺めていただければ幸いです。

2021年8月の段階では、新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第5.2版が有用です。