新型コロナウイルスの治療薬

新型コロナウイルス(COVID-19)の治療薬について、調べてみました。テレビのニュースでは、近日保険適応となりそうな薬剤として、アビガンとレムデシビルが放映されております(2020年5月時点)。また、アクテムラもニュースになっています。

既存の抗ウイルス薬

ベクルリー(一般名:レムデジビル) 点滴薬
エボラ出血熱の治療薬として開発
推測される機序:ウイルスRNA産生を遅延させ、ウイルス増殖を抑制
COVID-19感染症では重症例に治療効果有
副作用に注意

アビガン(一般名:ファビピラビル) 内服薬
日本で開発されたインフルエンザウイルス感染症に対する治療薬
新型コロナウイルス肺炎患者の入院日数を有意に短縮
機序:RNAポリメラーゼという酵素を阻害し、ウイルスの増殖を抑制
耐性ウイルスができにくい 

抗ウイルス薬以外の既存薬

ビラセプト(ネルフィナビル) 内服薬
HIVに対するプロテアーゼ阻害薬
新型コロナウイルスに対して増殖抑制活性がある(Ohashi, 2020. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.14.039925

オルベスコ(シクレソニソ) 吸入薬
気管支喘息に対する吸入ステロイド治療薬
投与時期は感染初期~中期あるいは肺炎初期の患者に適応外使用が始まっている

フサン(ナファモスタット) 点滴
フォイパン(カモスタット) 点滴
気道上皮細胞のTMPRSS2を阻害し、新型コロナウイルスのスパイク蛋白の活性化を防ぐ(Yamamoto, 2020. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.22.05498

ストロメクトール(イベルメクチン) 内服薬
糞線虫やヒゼンダニなどの寄生虫に対する薬剤、フィラリア予防。マクロライド系抗寄生虫薬
推測される機序:細胞質のタンパク質を核内へ運ぶ分子であるインポーチンと結合して、細胞内伝達シグナルの核内移行を抑制

抗炎症薬

デカドロン
メチルプレドニゾロン

ステロイド薬で、強い抗炎症作用を持つ(長時間作用型)。人工呼吸や酸素投与を必要とする新型コロナ重症例患者への同剤の使用が推奨されている。

アクテムラ(トシリズマブ) 注射薬     
関節リウマチの治療薬
機序:炎症系サイトカインの一つであるIL-6の作用 を抑制
COVID-19の重症化はサイトカインストームである急性呼吸窮迫症候群ARDSによるが、このサイトカインストームを抑制する

レミケード、ヒュミラなど(TNF-α遮断薬) 注射薬
関節リウマチの治療薬
機序:炎症系サイトカインであるTNF-αの遮断薬
アクテムラと同様にCOVID-19感染症のARDSを抑制する効果が期待されている

オルミエントなど(JAK阻害薬バリシチニブ) 内服薬
関節リウマチの治療薬
酵素JAKを阻害し免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑える

有効性が不確定な既存薬

プラケニル(ヒドロキシクロロキン) 内服薬
一部の自己免疫疾患の治療薬
実験系では、レムデシビルと同等の新型コロ ナウイルスの抑制効果
治療効果がなかったとする報告が複数あります(JAMA. 2020 May 11; doi: 10.1001/jama.2020.8630;
The New England journal of medicine. 2020 May 07; doi: 10.1056/NEJMoa2012410.)

ロピナビル・リトナビル 内服薬
プロテアーゼ阻害薬

調べてみるとたくさんあります。私自身は感染症の専門家ではありませんので間違っている情報があったらごめんなさい(医療関係の方は専門書・文献を参照ください)。投与されるかどうかは、薬剤の値段、効果の期待値、副作用の重症度と頻度によるのだと思います。COVID-19の情報は、1カ月も経つと古い情報になっている可能性が高いです。その際は、以前はこんな感じだったんだと眺めていただければ幸いです。