映画「億男」2018年

兄の借金の肩代わりをしたことで、妻とは別居し家族がバラバラになってしまった一男は、借金返済のために昼は図書館司書、夜はパン工場で掛け持ちでくたくたになるまで働きます。ある日、一男は3億円の宝くじが当選し、借金返済に夢膨らますが、ネットを覗くと大金を手にした人の悲劇ばかりが目につきます。

旧友を訪ねる

不安に駆られた一男は、大富豪となった学生時代の友人、九十九のもとを訪ねる。15年ぶりの親友との再会に一男はすっかり酒に酔ってしまう。しかし、酔いつぶれた一男が目を覚ますと九十九は3億円とともに姿を消していました。

九十九は、オープニングでは3億円を私利私欲でしめしめという感じで持ち去ったと思わせる設定ですが、途中からは一男との深い友情を描きます。大学時代に落語で青春した日々、砂漠への旅行シーンを混ぜ込みながら楽しそうに。その時から九十九はお金にのまれる人生に疑問を抱いており、そんな疑問をいだいているのを知っていたから、一男は九十九に3億円の相談したということがわかります。

妻万左子は、娘のまどかが唯一自分からやってみたいと言ったバレエに対して、一男が「お金がかかるので辞めさせたい」と言った言葉に未来が見いだせなくなり、別居・離婚を考えます。一男と距離を置いた理由は借金というよりは考え方だという話です。

九十九は自分が作った「バイカム」は、これが大金で買収を持ちかけられたことをきっかけに仲間が仕事の生きがいを忘れて「バイカム」を売ることを九十九に迫ります。九十九はこのような状態こそがお金にのまれている状態と嫌気がさします。

元「バイカム」CTO役が、ぶっとんでる役なのはわかりますが、滑舌が悪くて何を言っているのかがわかりにくかった。藤原竜也の役がらも奇異で、現実離れした設定で、なじめません。でも九十九が砂漠を楽しむシーン、沢尻エリカが「どうや!」っとお金を見せるシーンは結構好きです。

一男がお金にのまれるということ、3億円の意味を学んだころに九十九がお金を返しに来ます。そして怒るでもなく「信じていたよ」とつぶやきます。2人が人生に前向きになります。

感想と薀蓄(うんちく)

世の中、性善説で生きているとしっぺ返しが来るというストーリーを連想させますが、真実はその逆で、人との付き合いを大切にすることで、本来ならば舞い上がっていろいろと失敗してしまいそうなことを防止することができた、そして大切な家族とのつながりも復活できたという話で、ハートウォーミングな内容でした。

信じることができる友人は素晴らしい存在です。年賀状だけではなく、もう一歩関係を回復させたいと思いました。年をとると新たな人間関係の構築には、ハードルが高くなります。3億円がなくても一歩を踏み出す勇気を持ちたいです。