ビル・キャンベル氏の成功の原則

伝説のコーチといわれているビル・キャンベル氏のことを学びたくて、この書を手に取りました。題名は「1兆ドルコーチ」(ダイヤモンド社)エリック・シュミット, ジョナサン・ローゼンバーグ, アラン・イーグル著書です。アメフトのコーチ出身でありながら、一流なプロ経営者。スティーブ・ジョブズの師であると同時に、グーグル創業者たちを育て上げたコーチです。アマゾンのベゾスを救い、ツイッター、ユーチューブCEOらを鍛え、シリコンバレー中の企業に空前の成功をもたらした伝説のコーチ、ビル・キャンベルさんについての著です。

第2章においては、どのような企業・組織においても「人が全て」という原則が述べられています。ビルが組織を構成している人間を重視している姿勢が説明されています。

現場の士気をあげる

現場の業務遂行能力が、競争上の優位性を持つレベルに高められている状態を保つことが重要です。最も重視した視点は、その場その場の的確な指示ではなく、部下が「自分が大切にされている」と実感させることを挙げています。同じ部屋で一緒に過ごして耳を傾け、その言葉に注意を払います。トップには、毎晩眠りに就く前に、「自分のために働いてくれている従業員のことを考える」ようアドバイスします。トップが最も優先すべき課題は、部下の幸せと成功と断言します。

個人的な経験では、所属する組織の業務がうまくいくにはトップ(上司)との信頼関係が重要と日々感じています。この人のために多少理不尽なことでも一肌脱ごうとする心意気があると、円滑な業務運営につながるように感じます。

コミュニケーションの重要性

ビルが関与した企業の一つであるgoogleのスタッフミーティングでは、openingにて一人ひとりに週末何をしたかを尋ね、旅行帰りのスタッフには簡単な旅の報告をしてもらいます。このことにより、仕事外のことを含めお互いを知り合うことができるようになり、旅の話をしたスタッフはそこから交流が深まり自己重要感を醸成できます。個人的な話により、全員が楽しんでミーティングに参加できます。楽しい職場環境は高いパフォーマンスと相関しますので、一石二鳥です。

私が仕えた上司の中で、アイスブレーキングのような意味合いで似たようなことを時々していた方がいましたが、これをマネしていたのかもしれません。楽しい職場環境作りには明らかに寄与していました。

円卓の「背後」に控える

トップの仕事は、全ての意見を吸い上げ、全ての見解を検討するための意思決定プロセスを実行し、必要な場合には自ら議論に決着をつけ、決定を下すことです。トップは全ての意見を吸い上げるためには、議論の初めに答えを示してはいけません。チームで話し合いをするときは、最後に話すようにします。答えをただ与えるだけでは、力を合わせるチャンスをチームから奪ってしまいます。

意思決定プロセスにおいては、駆け引きのない環境を保ちます。駆け引きが効を奏する場合は、最適解ではなく、最高権力者へのロビイングに長けた者(政治力の強い者)の意見が最終決定になってしまいます。

第一原理に立ち戻る

最後は、第一原理の重要性を述べています。第一原理とは、その組織の構成員がすでに受け入れいている信念のようなものです。googleの場合は”エンドユーザー重視”と”優れたプロダクトの産出”です。議論が空回りしたときは、この原理に立ち戻ります。組織の原理に関しては、トップは何度も何度も繰り返し構成員に伝える必要があります。言い回しを変えて、飽きられないような工夫も添えて。

ビル・キャンベルさん本人が書いたものではないので、本人の本当の優先順位と一致しているかどうかはわかりません。ただ、複数の弟子から共通して語られた内容でもあり、このことがビルが重要視していることは間違いなさそうです。昭和時代の日本の企業戦士文化をドライにしたような部分も一部含まれています。上記の教えを日本風にアレンジすると更に良い職場環境が醸成されそうです。