映画「北斎漫画」1981年 ~世界を席巻した浮世絵作家の人生~

「富嶽三十六景」などの作品で名高い浮世絵作家・葛飾北斎とその娘・お栄、友人・滝沢馬琴との交流、波乱万丈に満ちた生涯を描いた作品で、劇作家・矢代静一の同名の戯曲を映画化したものです。

北斎の貧乏な生活

「鉄蔵(北斎)と娘のお栄は左七の家の居候しています。鉄蔵は、うだつが上がりません。困窮すると養父にお金の援助を申し出ます。左七に読物の挿し絵を書かせてもらい、経済的な窮地をしのぎます。北斎の名で描いた挿絵は評判になりましたが・・・」

放浪の旅の中で、傑作「富嶽三十六景」が生まれます。

感想

「富嶽三十六景」の話のあとは、一気に出演者が全員老人になります。言葉使い、動作がわざとらしいように老人の演技になります。一人の画家の人生を起承転結にまとめるのは至難の技であることは想像できますが、一挙に時代を進めたことで中だるみがありません。うまい構成だと思いました。

映画の中では、微妙に異なるセリフになっていますが、北斎75歳のときの有名な言葉に「70歳以前に描いたものは取るに足らないものばかりであった。73歳で多少は鳥獣虫魚の骨格や草木のなんたるかを悟り、90歳で奥義を極め、100歳で神妙の域を超えるのではないだろうか。」とあります。年齢を重ねても成長し続ける姿勢は尊敬します。年齢を理由に道を諦めるのはまだまだ本気とは言えないことなのかもしれないと、自分を見つめなおしました。

江戸時代のお酒

若いころのお栄がお酒を飲むシーンがあります。お酒が白かったのが、印象的でした。にごり酒なのかと思いましたが、江戸庶民のお酒である「どぶろく」だったと予測されます。江戸時代には清酒を大量生産することは可能となっていましたが、庶民は廉価のどぶろく(炊いた米、米麹、水、酵母を原料に発酵させただけ)を飲んでいたようです。

機微考察 ~満足しない心がけ~

最盛期を迎えると、そのときから人生は下り坂になると言われます。北斎は非常に高齢になってもその才能を開花させ続けたと言います。その原動力は「満足しない心がけ」ではないかと思いました。満足しなければ今が最盛期と感じることはありません。最盛期と感じなければ、下り坂に陥る可能性は低くなるのかもしれません。「足ると知る」べきという考え方もありますが、「満足しない心がけ」も時には必要かもしれません。