キリンの骨格標本 ~ウマとヒトとの違いを考察~

宮崎大学農学部には附属農業博物館があり、農学部のいろいろな活動・研究内容が紹介されています。この博物館は1935年に、宮崎大学の前身、宮崎高等農林学校の開校10周年記念事業として、旧舩塚キャンパスに設置されました。宮崎大学の統合移転に伴い1986年に現在の木花キャンパスに移転しました。この中にキリンとミサキウマの骨格標本があります。

開館時間が平日のAM9時からPM4時までですので、見学者の姿は 0 です。ちょっと勇気が必要でしたが、入館しました。するとキリンとウマの骨格標本がすぐに眼の前に現れました。

頭蓋骨と頚椎の関係

ウマとキリンが並べて展示されていますので、まず比較してみました。大きさ以外の違いがあるのかどうかが今回の着眼点です。

ウマとキリンの頭蓋骨と頚椎の接続関係です

写真は角度が異なり、わかりにくですが、ウマは第一頚椎(一番上の頚椎の骨)の水平ラインに頭蓋骨が並んでいるように配置されていますが、キリンは第一頚椎の上に頭蓋骨の後縁が載っている感じです(下図)。

キリンの方が身長が高く、口先をより上に向けることができそうです

ウマは走った際の空気抵抗を減らすために水平方向に長く、キリンは高い位置のエサを食べやすいように、このようなレイアウトになっているのかもしれません。

四肢骨格の全体像

JRAのHPに掲載されている競走馬の仕組みを参考に骨の名前を同定しました

それぞれの関節の位置については、ヒトとは少し異なります。首の下で前方に出っ張っている部分が肩関節です。肩関節に限らず、前後方向に移動することに重点を置くために、関節の可動域を左右方向を犠牲にして、前後方向にシフトした結果がこの位置になったと考えました。

キリンの肩関節は、首下の前方への出っ張りです

ヒトと比較して、ウマもキリンも随分中手骨と中足骨が長いと感じました。これも走るために足を長くしてきた進化の過程と考えました。

蹄は、固く地面を強く捉えるためにエッジを効かせています。ヒトは2本足歩行になったこともあり、エッジを効かせる必要性が減ったと思われます。そのために、地面を捉える強い蹄が必要なくなり、現在の爪になったのかも、と空想しています。

四肢骨格の細かいパーツ

四肢の骨格です。それぞれ向かって左がウマ(小)、右がキリン(大)です。

細かいパーツは、ウマとキリンで大きな違いはなさそうです。しかしながら、ヒトとは随分異なります。

ヒトでは「橈骨と尺骨」、「脛骨と腓骨」がそれぞれ別の骨として分かれていますが、ウマとキリンでは1つの骨として癒合しています。この理由は、ヒトでは「肘関節~手関節」と「膝関節~足関節」で大きく回旋します。キリンは、この回旋方向の可動性を犠牲にして、より前後方向に強固で安定した関節であることを優先したのだと思いました。

今回勉強させていただいたキリンの骨格標本は、1986年に閉園した宮崎サファリパークからのキリンさんということでした。宮崎サファリパークは1975年に日本初のサファリパークとして開園し、全国で話題を集めました。youtubeからの動画では、このキリンの種は、キタキリンもしくはアミメキリン(もしくは交配種)だったようです。

上記の意見・考察は、動物の専門家ではない私の個人的な意見・考察です。もしも間違いに気づいた際は「お問い合わせ」から、ご指摘いただけますととても嬉しいです。