映画「サンズ・オブ・ザ・デッド」2016年 ~ゾンビとの心の絆~

映画から学ぶ

楽しめるホラー映画はないかとHuluで探していたら、なんとなく「サンズ・オブ・ザ・デッド」が目に入りました。「ゾンビが蔓延した終末世界・・・、ゾンビの動きは鈍く、容易く逃れることに成功した」??容易く逃れることができる?ただのゾンビ映画とは異なるようです!

「サンズ・オブ・ザ・デッド」は2016年アメリカのホラー映画で、原作名は「It Stains the Sands Red」です。砂漠を血で染める、という意味の題名です。

ゾンビとの旅路の始まり

「ゾンビの町から脱出するため、モリーは恋人のニックと空港へ向かいますが、道中でニックがゾンビに食べられ、モリーは一人、ゾンビ(こちらも一人)と共に砂漠に取り残されてしまいます。 そのからゾンビとの旅路が始まります。」

感想

普通のゾンビ映画と同様に、ゾンビは「ゆっくりとしか移動しない = 素早く動かない」「思考回路がシンプル = 頭が悪い」です。この性格が明確に定義されています。主人公と少しだけ心を通わせるというヒューマンドラマの要素が存在します。その人情味を、ホラー映画に無理やり挿入するところが面白いです。尋常ではない違和感を呈します!

モリーは、映画「デーモン・インサイド」でレズ役のジュールズを演じていたブリタニー・アレン(Brittany Allen)です。セリフを上手にこなすスリリングな役が似合うと感じました。ゾンビはフアン・リーディンガー(Juan Riedinger)が演じており、同じくホラー映画「グレイヴ・エンカウンターズ」に出演しています。ぶれない歩き方(最初から最後まで片足を引きづって歩きます)に好感が持てました。撮影後には筋肉痛になったと想像します。

撮影場所は、アメリカネバダ州のバレーオブファイヤー州立公園です。ラスベガスから約100km北東に向かったところで、とても美しい砂漠とサバンナが広がっています。1億5000万年前の恐竜時代の地層で、化石がたくさん発掘されるようです。

機微考察 ~人情とホラーが混在~

アマゾンのロングセラーかつベストセラーの一つに「アイデアのつくり方」(ジェームス W.ヤング)という書籍があります。一言でまとまると、新しいアイデアは、既に存在するものの組み合わせであることがほとんどである、ということです。

ホラー映画も、限られた予算で作るには、劇的なものはなかなか難しいです。ヒューマンドラマの映画は、大きな企業の製作にはかないません。そんな中で新たなアイデアはないかと考えた末が、ホラーにもっとも遠い存在である「人情」を挿入した、という点がこの映画の新規性ではないかと思います。

その狙いは見事に的中し、初めはホラー映画、途中はヒューマンドラマ、最後は再びホラー映画と頭が左右にフルにぶれます!異質な2つのものをうまく組み合わせた新しい分野の映画と言っても良いかもしれません。