映画「いのちの停車場」2021年 ~在宅医療における人間味~

作家としても活躍する現役医師・南杏子さんの同名小説を映画化した作品です。ひと昔前の医療ドラマは、細かい部分に「手抜き」あり、誤魔化しありで、見ていてしらけることが多かったのですが、最近のドラマ・映画は実にリアルです。出演が吉永小百合さんと西田敏行さんなので、期待が膨らみます。

救急病院最前線から診療所に

長年にわたり大学病院の救命救急医として働いてきた白石咲和子(吉永)は、院内のトラブルから父・達郎が暮らす石川県の実家に戻り、在宅医療を行う「まほろば診療所」に勤めることになります。大病院の救急医療とは違うかたちでの“いのち”との向き合い方に戸惑いを覚える咲和子でしたが、院長の仙川(西田)をはじめ、診療所を支える訪問看護師の星野(広瀬すず)、咲和子を慕って診療所にやって来た元大学病院職員の野呂(松坂桃李)ら周囲の人々に支えられ、ほのぼのとそしてときには過酷な在宅医療と向き合います。

介護用ベッド

俳優さんの名前には疎い私ですが、知った名前の俳優さんがたくさん出演しています。上記以外にも、石田ゆり子さん、南野陽子さん、泉谷しげるさん、柳葉敏郎さんも出演しています。実力派の俳優さんがたくさん出演し、金沢の終末期医療がメインテーマです。このセッティングだけでも感動しそうです。

原作は南杏子さん(現役医師)

原作は同じ名前の書籍があり、作者は南杏子(きょうこ)さんです。出版社の勤務ののち、33歳で医学部に学士入学して、都内の終末期医療を実践されています。少し調べると、青梅市の慶友病院で勤務されているようです。

救命救急と在宅医療は、一見すると前者が花形のようなイメージですが、この映画の中では50:50の同等の立場で描かれています。両者とも間違いなく医療であり、流れる時間のテンポは異なりますが、患者さんにとってはどちらもかけがえのない存在です。もちろん、救急でも、在宅でもない、それ以外の普通の医療がたくさんあるのはその通りで、全てがそれぞれかかわりを持って日本の医療が成り立っています。

ロケ地の多くは金沢で、ちょっとした旅行に行った気分にもなれます。

金沢の兼六園

穏やかな人柄

書かれた文字だけでは、正確な人柄は見えてきません。しかしながら、動く画面は、演技の上手な俳優さんがどんなにうまく演技をしても”人柄”が見えてきます。

吉永小百合さんが、救命救急でテキパキと仕事をこなすシーンがありますが、ときどき見える動作と口調の中に優しさと穏やかさが含まれます。人の命が失われていく救急の現場からは、少し浮いてしまうくらいに。

西田敏行さんは、長年の俳優生活のおかげで貫禄がありすぎて、一言一言に重みと優しさが溢れています。福島県出身の方で、東北気質もときどき垣間見ることができます。

演技の中にもそれぞれの俳優さんの人柄が滲みでてくることを考えると、映画はキャスティングが重要なのだ、と逆に理解できました。