あるがままに生きる ~デール・カーネギーの言葉から~

「あるがままに」の英訳はどう訳しますか? Let it go、であれば「アナと雪の女王」。Let it be、であれば ザ・ビートルズの名曲 があります。人生で辛いことが続いたときに、「もう好きに生きたい!」と思ったことはないでしょうか。ちなみに私もときどきあります。実際に少しだけですが実践すると心が軽くなります。

しかしながら、孔子の名言には「七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」とあります。逆説的には、70歳より前には好きに生きるといろいろ支障が生じるのでは、と考えられるかもしれません。”go”と”be”では、ニュアンスが異なることも考慮すべきでしょうか。

己を知ることの重要性

デール・カーネギー「道が開ける」の中に、「自己を知り、自己に徹すれば」幸福を感じることにつながるとあります。具体的には、他人のまねをしないで、自分を発見し、自己に徹する姿勢が重要と述べています。例として、就職試験の面接で、他人のまねをして、本来の自分を表現できず失敗した、という話を挙げています。

貧乏だったころの若きガーシュイン(1898年アメリカ生、作曲家)が、高名であったバーリン(1888年ロシア生、作曲家)に弟子入りを志願しました。ガーシュインに才能を見出したバーリンの対応が有名です。バーリンは高給で自分のサポートをしてくれるように提案すると同時に「この仕事を引き受けない方が良い」と言います。「バーリンの二流品よりは、ガーシュインの一流品になりなさい」と諭します。

若いころは、自分よりも周囲にいる人生経験豊かな先輩の方が、自分をよく知っていることも多いです。受け入れるかどうかは別にして、いろいろな人に自分について質問してみるのは、己を知る一つの方法だと思います。

“Let it go” or “Let it be”.

アナと雪の女王では、”Let it go”の音楽とともに、悲しい場面にもかかわらず「ありのままで」生きるエルサが生き生きとしているように見えました。

“Let it be”は1970年のリリースですが、ビートルズが崩壊しかけているときに、ポールが夢の中で14歳のときに亡くなった母親がでてきて言ったセリフです。この言葉にポールは力づけられ、伝説の名曲を作りました。母親は、息子(ポール)にどのような言葉が必要なのかを理解していたのかもしれません(夢ではありますが)。

(自分の欲するままに生きるということではなく)自分らしさはなにかを追求し、自分らしく生きるようにしたいと考えています。

参考
デール・カーネギー. 道は開ける. 創元社 1999年
スティーヴ・ターナー (著), 藤本 国彦 (監修),  富原 まさ江 (翻訳). 完全版 ビートルズ全曲歌詞集. YAMAHA 2016年