睡眠中の手のしびれ ⇒ 手根管症候群でした!

一年くらい前から月に一度くらいの頻度ですが、寝ているときに「手がビリビリとしびれて」目が覚めることがあります。なんだろうな、大きな病気の始まりではないか、と(少しですが)心配していました。右手のこともあれば、左手のこともあります。手先の感覚神経は、末梢神経を伝って頚部の脊髄に合流し、脳の付け根付近(延髄)で左右を交叉して、大脳にたどり着きます。

頚椎症を疑う

右手のこともあれば、左手のこともあるということから病変部位を推定します。病変が一か所だと仮定すると、右手と左手の感覚神経の経路が重なる部分は頚髄レベルですので、頚椎症を第一に疑いました。そういえば、20歳台のころに「軽度の頚椎症」と言われたことがあります。

早速病院に行きますが、睡眠時に、たまにのみ、手のしびれが出現する程度で、通常(日中)は症状はありません。診察時はもちろん症状がありませんので診断は難しいです。頚椎MRIを撮影してもらいました。結果は「軽度の頚椎症」と以前と同じで、経過観察となりました。

こんなものかと考え、日常を過ごしておりました。

しびれの領域は正中神経!

手の感覚神経には、下記の図のように領域が分かれています。

つまり、親指と人差し指のみがビリビリすれば頚椎レベルの障害(C6)が疑われ、親指から薬指の半分までがしびれていれば正中神経の障害が疑われます。

手の感覚神経の分布です。C6は第6頚椎の椎体骨の上にある孔から出ている神経を示します。

次にしびれて目が覚める日を待ちます。

ある晩、右手がビリビリとして目が覚めました。そうだ、どこがしびれているかな、と突然考え、左手で右手の指先を一本ずつ触ってみます。すると親指、人指し指、中指まではビリビリ、小指はビリビリなし、薬指は親指側だけがビリビリします!!

そうです、頚椎レベルの障害ではなく、正中神経の障害だったのです。

手根管症候群とは

正中神経の障害の原因として、最も頻度が高いのは「手根管症候群」です。手根管症候群とは、手首部の靭帯で囲まれた部分に正中神経が走っていますが、そこが狭く神経が圧迫されている状態です。

診断にはいくつかの診察法があります(下記)。早速試してみます。

手根管症候群の診察手技です

Tinelサインは、ポンポンと手首の付け根(靭帯の部分)を叩き、しびれが悪化すると陽性とする診察です。実践してみると、少ししびれが広がるような、そうではないような感じで良くわかりませんでした。

Phalenサインと逆Phalenサインは上記の姿勢で1分以内にしびれが悪化すれば陽性です。実践してみると、30秒程度後にしびれのない状態から、明らかに寝ているときのあのビリビリ感が出現してきました(Phalenサインと逆Phalenサイン両者とも)。

両手の軽度の手根管症候群と自己診断しました。治療は軽症の場合は、痛み止めやビタミン剤、親指の筋肉がやせるような重症の場合は手術になるようです。

今から考えると、睡眠中にしびれで目が覚めたときは、なぜか手首が「Phalenサイン」のように屈曲していたような気がします。治療に関しては、私自身は日中は症状が全くありませんので、通常の軽症よりもさらに軽症です。経過観察としています。