美の旅 西洋絵画400年

宮崎県立美術館にて「美の旅 西洋絵画400年~珠玉の東京富士美術館コレクション展~」が、2020年9月12日(土)から開催しています。早速、奥さんと一緒に鑑賞してきました。東京の富士美術館は約4万点の美術品を保有する美術館です。ここから西洋絵画に関係する82点の絵画を、宮崎県立美術館にて公開しています。

美術の教科書で見たことのある絵画がいくつかありました。今回のセールスポイントは、写真撮影可能な3点の絵画ということで、「この写真を撮影して、SNSで宣伝してほしい」とまで、旗に書いてあります。

サン・ベルナール峠を越えるボナパルト

1805年Jacques-Louis Davidの作品です。ナポレオン・ボナパルトNapoléon Bonaparteの伝説にある「アルプス越え」のシーンが描かれています。1800年5月に、オーストリアに再び侵攻されたイタリアを奪取するため、ナポレオンは第2次イタリア遠征を計画します。春とはいえ、まだ雪深いアルプスのグラン・サン・ベルナール峠を越えて南下するという最難関のルートを選びます。

ナポレオンはもちろんのこと馬が生きているように見えます。アルプスの中で冷たい風が強く吹いているのがわかります。寒いと思っても、「大将は行く気満々ですがね~」という感じでしょうか。馬の下に(奥に)大きな荷物を運ぶ下っ端の人々の姿がちらっと見えます。いつの時代も下っ端は大変です。

観念

1966年のRene Magritteの作品です。人物は特徴のない既製の服を着せられ、顔を消された存在として描かれています。同じように宙に浮かぶリンゴもその個性を消されています。二つの物体は互いに脈絡を持たずに、絵画の中でこそ可能な出会いを果たしています。「日常ではあり得ない出会い」が描かれています。

服が妙に左右対称で、あえて個性を消しているように見えます。ネクタイは一番上まで締まっていないのが、新人サラリーマンぽいです。もしかすると、サラリーマンは人間性豊かな個性・個人よりも、単純労働を黙ってこなす外側の方が大切にされる、そんな時代を想像しているのかもしれません。「頭には何も考える必要がないので、リンゴを書いてみました。組み合わせが面白いでしょ」という声が聞えてきます。

睡蓮

1908年のClaude Monetの作品です。モネが自宅の日本庭園の池を舞台に、睡蓮のシリーズを1897年ころに描きます。この作品は15点の連作の一つです。繊細で優美な色彩で、最も軽快な作風です。

人間は年をとると視界が暗く、ぼんやりとしか見えなくなります。1940年生まれのモネは、このとき60歳台後半で、老眼が中盤に入り始めたころです。そのため、やや明るい色彩でぼんやりと書いているのでしょうか。下半分に位置する睡蓮だけは、比較的コントラストがはっきりと描かれていますので、対照性を際立たせたのかもしれません。

まとめ

上記の3点以外にも、いろいろな絵画があります。歴史画、肖像画、風俗画、風景画、静物画などとテーマごとに手展示されており、理解しやすいです。コロナの影響で、入場者を制限していたために、会場の中の人数は比較的少なく、ゆったりと鑑賞することができました。それぞれの絵画は、触れる直前まで近づくことが可能で、ミレーやゴッホの絵画を数cmの距離で筆遣いを観察できました。大御所の絵画を鑑定するくらいの距離で鑑賞している自分に、ちょっと感動しました!