「モリー先生との火曜日」難病と向き合い、愛を伝授

ずっとずっと以前に、何かのラジオ番組で「モリー先生との火曜日」の一節が紹介され、とても興味深く思っていました。それから随分と時が経ち、妻のらき子さんが通販でこの書籍を購入していることに気づきました。らき子さんには申し訳ありませんが、私が先に読ませていただきました。

教え子による作品・論文

「モリー先生との火曜日」(Tuesdays with Morrie)(NHK出版、別宮貞徳訳)は、アメリカのジャーナリストのミッチ・アルボム(Mitch Albom)によって書かれました。難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に侵されたモリー・シュワルツ(Morrie Schawartz)教授(社会学)が、死を前にして、かつての教え子であるミッチに贈った「最後の授業」を記録したものです。

ミッチは大学在籍時代に不思議とフィーリングの合ったモリー先生と卒業のころに再会の約束をしながら、16年間再会することはありません。でも教授が難病に侵され、死と向き合っている姿をテレビで見て、会いに行きます。

毎週火曜日に訪問し、講義を受けることになり、その記録は人生を考察した二人の論文として完成させることになりました。

Giving is Living

モリー先生の言葉には、多くの「納得できる人生を歩む」ためのアドバイスが含まれます。

これらの内容は多彩で、読者により解釈の方向性は変化するように感じます。読むペース、読む姿勢、読む時間帯、読むまでの人生経験によっても変化します。講義を受けたアメリカ人のミッチと50歳台日本人で読んだ私では、言葉のニュアンスは変化します。でも根本は同じ部分が多く、同じ部分の一つが「giving is living」です。

周囲に”与える”ことが自分が生きている証で、”愛を相手に伝える”ことが生きていることの意味と表現します。

具体的には、本書を読むと理解できます。私自身は人生観が変わりました!

死と向かい合うこと

死を理解することが、生きることを理解することにつながると何度か書いてあります。

何か(特に抽象的な概念)を理解するには、その対極にある概念を理解することが、早道です。モリー先生も、生きることの意味を理解するには、死の意味を理解することが重要と述べます。

死の意味・・・、これに意味がないと思えば、生きることの意味もないことになります。人間にとって重要な意味を持つとすれば、生きることも重要な意味を持つことになります。

大きな中で、自分が生きていることに気づき、生きる意味を感じることができれば、死を恐れる感情も少しだけは軽減できるのかもしれません。

この本は、読みながら涙を流がす部分があり、読みながら声を上げて笑う部分もありました。訳者の実力もあると思いますが、楽しみながら、一気に読むことができました。

書籍を楽しむメリット

ドラマ版もありますが、このような内容は、書籍を自分のペース内容を消化しながら読む方が充実した時間を過ごせるように思いました。

忙しいときは、2時間で終了することがわかっている映画はとても便利ですが、人生に影響を与えるような(ゆっくりと満喫したいような)内容には、時間無制限の読書の方が”自分のペースで読める”ことが大きなメリットになります。

ドラマや映画は、作者の意図以外に、製作者の解釈も加わってしまい、モリー先生の伝えたい内容に制限が加わってしまいます。更に考察すると、英語の原作を読むべきということになりますが・・・。長期的には原作読破を検討したいなあと思っています。